桜の陰で密やかに梨が花を結ぶ

梨の花をちゃんと咲いているのを見たのは、今年がはじめてだったかも知れない。

梨の名産地なので、今までも目には入っていたけれど止まってはいなかったのだろう。

普通なら「桜より一週間ほど遅れて咲く」ものだそうで、今年のようにほぼ同じ時期に開花しているのがめずらしいのだろう。

 もっとも、桜の壮大さの影に、沈丁花などとともに隠れてひっそりと咲くので目立たないのだろう。梨畑のあるところでしか見ることは出来ないし、梨畑(うちの近所は秋の梨もぎ用に栽培している)なので、枝の高さが大体人の目より少し下くらいに揃えてあって、なにかそれだけで、華がない。

 もっとも華麗に咲きそして散るけれど決して実を結ぶことのないソメイヨシノと、花は決して注目されることはないが(咲きっぷりはそんなに悪くはないのだけれど)見事な果実を結ぶ梨と、どちらが生を全うしてるかといったら後者だろう。

 中野重治の小説で「梨の花」という題名のものがあるらしく、梨の花を「なにか新しい世界へ踏み出す予兆」として描いているのだそうだ。いずれ、読んでみたい。

また、唐代の語で 梨花一枝春雨を帯ぶ(りかいっしはるあめをおぶ)というのもあるそうで、一枝の白い梨の花が、春の雨に濡れている様を、美人の悲しむ姿をたとえた言葉だそうだ。 なるほど、楚々とした風情と小雨に打たれる様子は、まさにそんな印象だった。

(※ひと月くらい前に書いた文章です。)

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